Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
――まだ、夜の八時過ぎ
工場が集まる場所を抜けると
近所だけあって
あっと言う間に海に出る
車に入ってすぐ『彼』は
頭を傾け、腕を組み
あっと言う間に、目を閉じてしまった
……。って思う。
でも
今回は、ホントに疲れてるのか…
頭………
ビミョーに、
倒れてきそうで来ない
その頭を意識しながら
たまたま、バックミラーを見たら
―――マキちゃんのアニキと
思い切り、目が合った。
アニキは
"うお!"と言う顔をして
私は一気に自分の顔に
血が昇って来るのが分かって――
…声をあげないで、爆笑してる
二、三回
足をバタつかせて
ハンドルに顔を付けながら
左手で"ゴメンゴメン"と、ミラー越し
慌てて目を落として
ずっと自分の膝を見てたんだけど…
――なかなか家につかない。
ミラーを見たら"アニキ"
右肘は窓から出して
左手でハンドルを握る
小声で一緒に唄っていたのは
ラジオから流れる
あの流行りの、夏歌
ちょっと角度を変えると
異国の人にも見えちゃう
綺麗な顔
少し微笑んで
近所の海を通過した
そこは普通の、夜の景色――
玄関先、"アニキ"は
ウチのお母さんに
『ナス、マジで美味かったです』と言い
お母さんは調子に乗り、大喜びして
また"アニキ"に茄子の塩漬を
大量に、渡していた