残された気持ちダケ…
 結局、私は臆病で、自分からは動き出せなかったのです。相手からの確実な何かがないと、怖くて踏み出せなくて。どうせ、私は『ただの憧れ』なんだから、好きな訳じないんだから、嫉妬する意味もないし、見てるだけ、考えるだけなんだって決め付けて、ただ何かが起こるのを待っているだけでした。

 そうした中で月日は経って、気が付いたら、もう卒業一ヶ月前でした。正直、泣くほど悲しかったし、何度も、後悔しました。『あの時、あ~しとけば良かった』とか、『私も好きだったって、言えばよかった』なんて、毎日毎日考えていました。でも、まだ結局は考えるだけの私でした。

 
 卒業式の一ヶ月前。それは、二月のバレンタインの時期でもありました。私は勇気を振り絞って、チョコを渡す事にしました。
 ですが、バレンタインは土曜日。しかも、学校に持っていく事は不可能なので、家に行くしか方法はありませんでした。
 でも、私は先輩の家を知りませんでした。確実に知っているのは一人...その、先輩を好きな、友達でした。

 全ての事を打ち明けました。全部を、伝えました。そして、家を教えてほしいと言いました。友達は黙って、頷きました。家を私に教えてくれました。友達もきっと、私が好きだったとは知らなくて、本当、びっくりしたのと、裏切られた気持ちになったと思います。私は、酷い人だと自分で思いました。
 でも、もう戻る事は出来ないからと、言い訳して、自己解決しました。今、優先するべきは、先輩なんだと。
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