残された気持ちダケ…

　バレンタインの前日、先輩の友達（今からはK先輩とします）にメールアドレスを聞かれました。話した事も一回しか無いのに、なんでだろう??と思いましたが、教えました。
　

バレンタイン当日、買ったチョコと、手作りのクッキーをハートの箱に詰めて、二つをピンクの袋に入れて、先輩の家にもって行きました。メッセージカードも入れておきました。名前と、『良かったら食べてください』ただ、それだけなのですが。
　私は袋を大事にカゴに入れて、割れたりしないようにゆっくり自転車をこぎました。

　三十分後、先輩の家に着きました。チャイムを鳴らしましたが、先輩は家には居ませんでした。なので、ドアのノブに掛けておきました。置き逃げ状態でした。先輩が居なかったのは、残念な気持ちと、ホッとした気持ち、両方ありました。

　やっと一歩踏み出せた事が、大きな喜びでした。いつも、『私なんか』と思っていた私が、些細な事でも、踏み出せた事が大きな喜びでした。見ているだけ、考えているだけの私じゃないって思えました。先輩は、あのチョコを食べてくれたのかな．．．？


　翌日、K先輩と初めてのメールをしました。K先輩は、私が先輩のことを好きだと知っていました。なので、先輩の話をしました。

　そしたら．．．『恋麻智（私）が来たらすごい笑顔になるよ。たぶん、意識してると思うけど、話したいとか思う？』ときました。信じられませんでした。え??本当??みたいな．．．嬉しかったです。