Lovely☆愛すくりーむ

「残念ですが・・・」

長い沈黙の後、先に口を開いたのは院長先生だった。

「なんで・・・なんで梨架が死ななくちゃいけなかったんだ!!」

「すいませんでした・・・」

「いえ・・・先生方が悪いのではありません・・・

インフルエンザ・・・インフルエンザなんかがなかったら・・・

俺が梨架のかわりに死んでたら・・・」

「そんなこと言わないで下さい!!」

俺は驚いた。

あんな静かな山下さんが大声をだしたからだ。

「え??」

「自分が死んでたらなんて考えないで下さい。

生かされたと思って前を向いて生きて下さい!!」

そんなこと無理だ。

テレビやマンガみたいに彼女が死んで主人公は前向きに生きてく・・・

そんなこと現実ではありえない。

母さんの時は前を向こうと思った。

けど、今回は梨架だ。

母さんだけでも凄い悲しい思いをしたのに・・・


貴方にはこの気持ちがわかりますか??

家族を失い恋人を失い・・・

俺を支えてくれていた人たちが次々と・・・

次々と俺の前から姿を消してゆく・・・

この気持ちに耐えられますか??

自分じゃなければ簡単に前を向けって言えるけど、

『前を向く』ってことは難しいことなんだ。


「無理です・・・」

「え??」

「そんなこと簡単に言わないでください!!俺の気持ちもわからないくせに!!」

そう言ってその場から去った。




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