分け合う秘蜜





「さ、口が正しい言葉の言えない
ガキにはしつけが必要か?」


「い、要らないですって。
あたし帰りたいんですけど」


なんだこの塾長。
完ぺきに嫌がらせだよ、これ。


爪が食い込みそうになるくらい
頭にある手に「嫌」を主張しても
随分と非力だな、って余裕な
笑みを浮かべられて。


そのまま塾長の休憩室へと
連行されてしまう。


あー、外真っ暗!
家に早く帰らないと、
親心配してるんですって
なんて言っても、この男には
まるで意味がない。


ただ、遅くなったら
泊まっていけって
俺もいるし。

なんてふざけたことしか
言わないその口を。


思いっきり叩いてやろうかと
振り上げた手を下に
おろすしかできない
臆病な自分に、ため息をついて。


鼻歌を歌い出す塾長に
バーカって一言。


「調子に乗んなガキ」


ぎりぎりと絞められた頭が、
ヒリヒリと痛む。

変態、怪力、暴力塾長……。


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