分け合う秘蜜






「そんなに、好きなら
告白でもすれば?
アイツなりにお前のこと、
可愛がってんじゃねえの?」


可愛がってる、か…。

先生、塾長なのに
知らないの?


「可愛がってる」と「好き」には
どうやっても越えられない壁が
あるんだよ?


可愛がるは、きっと恋愛対象として
見てないから。


恋愛対象として
先生の瞳に映れないのなら。


意味がないの。


「ダメだよ、だってあたし。
ガキだもん」


気が付いてほしくて、
我儘ばっかり言って。

挙句の果てに先生のことを
困らせてばっかり。


駄々を捏ねてる小さな子供と
一緒だね、あたしは。


立ったまま、塾長を
見下ろすことしかできなくて。


ため息ばかり口から洩れる。


コンコンという軽い音とともに、
部屋の外に誰かいる印のノックが
聞こえた。


「ったく、俺に休憩も
すんなって言ってんのかよ」


チッと派手に舌打ちをする
塾長は、たちが悪い。


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