分け合う秘蜜
絶対に、塾の先生
なんかに向いてない。
見た目なんて、赤みがかった
長めの髪と細い目。
長身で、そのくせ
スーツが激しく似合わない。
この男のどこを見たら
塾の先生だってわかるだろうか。
……暴力的だし。
「……入れば、用あんだろ」
「失礼します、えっと…」
その声とともに入ってきた人に、
息をのんでしまう。
2人そろって、あ…なんて
呟いて。
なんか、ヤバいかも。
そう思った時には、
もう遅くて。
「あの、塾長…海智、
帰ったはずでしたよね?」
「ああ、さっき引き留めた。
暇だったから」
「っ……俺、送ってきます」
2人のやり取りを見てると、
先生が2人そろって近づいてきて
「海智、行くよ」
そう言われて、手を引かれた時には
開いた口が閉じていなかった。