分け合う秘蜜





やっぱり、迷惑しかけてない。

バカみたい……。


気が付いてほしくて、
だけど気が付いてもらうどころか
嫌な生徒だったね。


「家、もうすぐ着くよ」

「…あ、はい。すみません、
ありがとうございます」



頭を下げると、じっとあたしを
見つめた先生の視線に、
ドキッとして目線を横へと逸らす。


そんな風に、見ないで。

ドキドキしてしょうがなくなる。


「海智、こっちむいて」


赤信号で止まるともに、
グッと顎を引かれて
顔に影が出来て…。


「せん、せ…?」


ドクンと大きな音をたてた
心臓についていけなくて
ギュッと瞼をつむって。


微かに近くに感じる先生の吐息が
かかりそうでかからない。

緊張感で頭が真っ白になって。


チュッと音をたてた場所は、
思いもしなかった頬へのキス。


「海智の鈍感…」


ぼそりと呟いた先生に、
ときめいた胸の音は
加速するばかり。



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