分け合う秘蜜






目で追うだけ
無駄だってわかってるのに、
気が付いてほしいの一心。


ただそれだけなの。


少しでも多く、先生に
見てほしいだけなの。


「ごめんなさい、
やっぱりいいっ。
仕事邪魔してごめん」


プリントを残したまま
先生のいる指導室から
急いで出ていって。


やっぱり、ダメだ…。


先生の傍にいるだけで
ドキドキ言って
しょうがないのに、
上手に自分を理解できないよ。


バカみたいに期待して、
バカみたいに嫉妬して。


そんなことしたって
変わるわけでもないって
わかってるのに。


「あたし、
まだまだ子供じゃん…」


我儘で、自分が
コントロールできない子供。

好きって、気付いてほしくて
でもちゃんと伝える
ことさえできない甘い自分。


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