分け合う秘蜜





「お前、何泣いてんの?
失恋でもしたー?」


随分とストレートに、
そしてあたしの頭の上で
聞こえた声に、嫌な予感がして。


この声…まさか、って事は
ないよね……?


ゆっくりと振り返ろうとすると。


「ひっ!」

「俺の言葉シカトするなんて、
なに様だ、オラ」


ガッと片手で掴まれた
頭が無理やり奴の方へと
向かされて。


最悪、なんでこいつが
こんなところにいるのよ。


一気に惨めになって、
頬を伝っていた涙を急いで
拭って。


頭にかかる手をバシッと
叩いて。


「なんですか、塾内での暴力は
マニュアルでは禁止ですよね!」

「んなの知るかよ、バレなきゃ上も
何も言って来ねえよ」


信じられない、この塾長。



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