✝恋人魚✝
「…拓巳…。」

『ん?』

「あのね…清ね…話さなきゃいけないコトがあるの。」


今しかない。


わがままな清から


もったいないくらいの『好き』をくれた拓巳を


解放してあげなきゃいけない。


縛りつけてた鎖を

外してあげなきゃいけない。


『その顔からして,いい話じゃなさそうだね?』


その通りだよ。

拓巳ゎ何でも分かっちゃうんだね。


「清ね,拓巳のコト好きだよ?
 だけどね,それ以上に
 そばに置いちゃいけない人だな
 って思ってるの。」

『なんでそう思うの?』


拓巳ゎ怒らずに,冷静に清を見つめてた。


清ゎコクリと頷いて

また続けた。


「前拓巳に,王子様の話しした
 の覚えてる?」

『うん。清の「理想に合った人としか恋できない」って話しだろ?』

「そう…。
 その王子様がね…」

『現れちゃったのか…。』


拓巳ゎ清の言葉にかぶせて言った。


「ぅん。」

『それで…俺と別れたい?』

「………ぅん。」

『そっかぁ…。』


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