6つの花びら

「好きです…」



放課後の教室。


話したいことがあると言われ、最終下校時間を少し過ぎた頃に待ち合わせた。


告白とは、決して思っていなかった。


相手は憧れの人。


人生そんなに上手いこと行かないのは、良く知ってた。


でも投げ出された


『好き』


俺はなんて言ったらいいのかわからなくて、ただ黙り込んでいた。



「もしよかったら付き合ってほしいんだけど…」


凄く嬉しかったけど、あることが頭に過った。


自分で言うのも何だが、俺は女子に囲まれる事が多い。


俺がここでOKしたら、杉崎史華は俺の彼女になる。


俺の彼女になったことで周りから距離を置かれたり、酷くていじめとかがあるかもしれない。


しかも、俺が優柔不断な故に、告白されて返事ができなかった子がいる。


きっとその子からは嫌われてしまったりするんだろう。


…それは嫌だ。


俺のせいで酷い目にあわせたくない。



「ちょっと、考えさせて…」



控えめにそう言った。


彼女は俯きながら頷いて、教室から出ていった。



好きなのに、好きと言えないのが、こんなにもどかしいなんて思ってなかった。


好き


…好き


好きなんだけどなぁ…


俺は去っていった彼女と同じように俯いて、教室から出ていった。










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