6つの花びら
「昨日、どうだった?」
「わっ…びっくりしたぁ…」
私は朝、教室に入ると背後から声がしてビクリと肩を震わせた。
真美か。
高橋真美。中学からの友達。
「うーん…、考えさせて、って…」
「そう…。やっぱり、そう来るよね。ヤツは典型的なヘタレだもんね…」
「…で、誰がヘタレだと?」
「目の前に居ます…」
「こんにゃろっ…」
うーん…
どっから出てきたの?
彼は横川隆平くん。
真美の幼なじみで、私の…好きな人。
「杉崎…あとで話、いい?」
真美とは一段落ついたのか私の方を見て言った。
「うん…大丈夫」
真美は長い前髪の中の目を丸くさせていたのがわかった。
「ヘタレのくせに…」
「お前…空気読め…」
「あえて、だよ…」
「最悪」
「最高」
そんな言い合いをする二人。
私には入れない世界。
そういう意味ではないけれど、二人には強い絆があるんだろう。
羨ましいな。