君色のぼく
「………不味いかもしれないけど、どうぞ。」
「ありがとう。」
亮くんって毎日、食堂なんだよね…どうしてだろ?
聞いてもいいのかな……
かっ、彼女だし。
いいよね…
「美味しいっ!」
「ふえっ?」
「変な声だしてどうしたの?」
「な、なにも…」
話しかけようとしたら…急に亮くんが大きい声だすから…変な声でちゃったよ…
「春日、すっごい美味しいよ。これ、」
そう言って卵をつかむ。
「本当?」
「うん!」
「よかったぁ〜。口にあわなかったどうしようって心配だったんだ…」
「心配なんていらないよ…すごく美味しいから。」
…嬉しいな。美味しいって笑顔がこんなに嬉しいなんて思ったことないや。
「あ………亮くんって毎日、食堂だけど…お母さんはお弁当とか作ってくれないの…?」
「あぁ…母さんいないから…」
「え。あ、ごめん……」
お母さんがいないって…亡くなったのかな?
じゃぁ、お父さんと二人で大変なんじゃ…
「母さんと父さんは昔に離婚したんだ…それで、ぼくは祖父母に育てられたんだ…だから。今は一人で暮らしてるよ。仕送りは両親から貰ってるしね。」
「そうだったんだ…」
全然、知らなかった…そんなこと。
「こんな話、誰かに言ったの…春日が初めてだよ。」
「え?」
そういえば…亮くんの家の話を聞くのは初めてかもしれない。