天使の涙(仮)
この男の名前は片倉翔、私と同じ23歳。
彼は私の勤務先であるスーパーの同期。
人懐こい性格と綺麗な顔立ちによってパートのおばちゃん達のアイドル的存在だ。
頼まれたら嫌とは言えず、上司からは面倒な仕事を押しつけられる。
まったくといっていい程要領が悪い。
職場では必要以上に会話をせず、話しかけるなオーラで淡々と仕事をする私に突然話しかけてきた。
“今までに会ったことがないタイプだから、興味ある。”満面の笑みでそう言った。
もちろん私はそんなの完全に無視したし、きっと普通の女ならキュンとなるような笑顔も嘘くさく感じた。
でも、それからめげずに暇さえあれば話しかけてくる翔に根負けして今に至る。