天使の涙(仮)
乾杯をして二人で飲み始めた。
最初は職場の誰がどうとか、翔の友達がああだとか、他愛もない話をしていた。
翔が買ってきたビールも底をついて、私の家にあった焼酎を飲み始めた。
かれこれ2、3時間が経って、日付が変わろうとしていたときだった。
「実々、俺寂しいよ…。」
酔っているのか、普段より低いトーンで呟くように話す。
「いきなりなしたの?沙也加ちゃんとケンカでもした?」
この“沙也加”というのは、翔の彼女で高校のときからずっと付き合ってるらしい。
私は会ったことは一度もないけど、翔の話を聞く限りでは彼氏思いの可愛らしい子という印象だ。
「沙也加は全然関係ないよ。実々のことだよ…。まだ23なのに、いつも人生終わったみたいな顔してさぁ…」