天使の涙(仮)
今は沙也加の気持ちがわかる気がする。

一番近くにいるはずだったのに、相手は自分ではなくて、違う方向に矢印が向いている。
それがいつか交わることを夢見て、そう信じて。


でも、きっと実々はあの男のとこに行ってしまうんだろうと思うんだ。
俺は何も出来ず、何も言えずにその姿を見ることしか出来ない気がする。


だって俺はそれを阻止する権利なんて持ってない。
行かないでと泣き付く?
そんなこと出来るわけないじゃないか。


ただ好きなだけなのに、そばにいたいだけなのに…。
その気持ちがより一層実々を遠ざけている気がする。

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