天使の涙(仮)
ずっと違和感があった。
実々といるときの自分に。
実々の為にとか、実々が喜ぶならとかそんなことばっかり考えてた。
悲しいときも笑って、無理してるのに平気な顔したり。
本当は違うのに。
辛かったのに。
俺はもっともっと前から実々が好きだった。
だけど、怖かったんだ。
沙也加のいない生活を送ることも、実々に本当の気持ちを伝えることも。
何よりも、実々にフラれてしまうこと。
そして、今までの関係が崩れてしまうんじゃないかってこと。
だから、気持ちに蓋をして気付かないフリをしてきた。
いい友達のフリ。
いい理解者のフリ。
本当はずっと実々が欲しくてたまらなかった。
ひとり占めしたくて、実々の世界に俺だけが存在してればいいのにって。
くだらないものに嫉妬して、そんな自分を認めるのが怖かっただけ。