天使の涙(仮)
少し離れた公立高校を受験した私は、毎朝1時間ほど電車に揺られて通学した。
父は私立を受けろと言ったけど、そんなときだけ父親面する父への細やかな反抗だった。
そこには中学のときの同級生もいない。
知らない人ばかりだったけど、その方が気楽だった。
クラスメイトともそれなりに会話をする程度。
友達と呼べる存在はいなかったけど、それでも前より生活に少しだけ色付いた気がしていた。
そして、高校生活にも慣れ始めてきた、ある暑い夏の放課後。
私には眩しすぎるくらいのアイツと仲間に出会った。