天使の涙(仮)
夏休みの最終日、久しぶりに父が家に帰って来た。
私とさほど変わらなさそうな若い女を連れて。
父はその女を私の新しい母親だと言った。
そして、この家で”家族”3人で住もうと。
その女は“仲良くしてね”なんて嘘臭い笑顔で言っている。
この2人の醸し出す独特の雰囲気に呼吸困難になりそうだった。
悲しさとか怒りとか、マイナスな色んな感情が混ざり合って、何も言うことが出来なかった。
もうどうでもいい。
必死に反対するのも、無理して良い子のフリをする気にもなれない。
バカバカしい。
それよりも早くこの場から逃げ出したかった。
だから、何も言わずに家を飛び出した。