天使の涙(仮)
それから私たちは朝の5時近くまで飲み続けた。
翔が床に倒れるように眠りについて、私はしばらくそんな翔の姿を眺めていた。
それに飽きて、寝室には行かずにソファーの上に寝転んだ。
目を閉じて、アルコールでグチャグチャになった思考回路の中、“目覚めたときもそこに翔の姿がありますように”と願った。
なぜそんなことを思ったのか自分自身分からなかった。
ただそうであって欲しかった。
でも、目覚めたときには綺麗に片付けられたテーブルの上に置き手紙だけで、翔の姿はなかった。
ささやかな願いも虚しく、現実に引き戻される。
“孤独”という二文字が私の頭を過ぎった。