天使の涙(仮)


初めて実々と出会ったのは、新入社員初日のときだった。
新入社員は俺の他に加藤という一つ年上の女の人と、同い年の榊という男と、実々の4人だった。

朝の8時に朝礼が始まって、他の社員やパートの人達に自己紹介も含めた挨拶をした。
俺も含め、“頑張ります”とか“よろしくお願いします”といったありがちな意気込みを言った。
でも、最後に挨拶した実々は違った。
ただ名前と年齢を言っただけで一瞬のうちに自己紹介が終わった。
笑顔でも、人前で恥ずかしそうにするわけでもなく、簡単に言うと無表情。

そんな実々にそこにいた誰もが唖然としていた。
でも、初日ということもあってそんな実々に何か言う人もいなく、15分程で朝礼が終わった。

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