天使の涙(仮)


それからというもの、俺は暇さえあれば実々につきまとうように話しかけた。
最初はあからさまに嫌な顔をされ、無視されていたが、俺は諦めなかった。
しばらくすると徐々に返事をくれたり、ごく稀だけど俺の言葉に笑うようにもなった。
今考えると俺って人間はかなりしつこいと思う。
その甲斐あって、食事をする仲になることができた。
まぁ、“おごるから”とかいって強引に誘ったんだけどね。


初めて実々と食事に行ったときだった。
実々は好きな食べ物はなんだとか、好きな曲はどうとか、社交辞令的な内容だったけど自分のことを話してくれた。
それが嬉しくて、聞かれてもいないのにベラベラと自分のことを話した。

そんな俺の話を聞いた実々は“アンタって面白いね”と言って笑ってくれた。

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