天使の涙(仮)

外はうざったいほどに、太陽がさんさんと降り注ぐ。
余命わずかだという蝉が、命乞いしているかのように鳴く。
それが余計に暑さを増した。

空腹を早く満たしたくて自然と足取りは早くなる。
向かう先は近所のそば屋だ。
ボロボロで今にも潰れてしまいそうな、そんな雰囲気をかもしだす。
だが、いつ来ても多くのお客で賑わっている。
その秘密は格安だということ。
オール350円という、なんともお財布に優しい価格。
味もまあまあで、私は中でも山菜おろしそばが大のお気に入り。

適当にカウンターの空いてる席に座り、迷うことなくそれを頼む。
私のお腹は空腹から満腹に変身をとげたのだった。

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