天使の涙(仮)
食料品はどれも安くて買いたい衝動に駆られたが、この暑さでそれを両手に袋を下げて歩くと思うと嫌になり諦めた。
外に出ると、生温い風が全身にあたる。
早く家に帰りたくなり、早足でスーパーを後にした。
スーパーから15分程歩いた。
角を曲がれば、住んでいるアパートが見える。
気持ちも心なしか元気になってくる。
だが、それは一瞬で嫌悪に変わった。
アパートの前には、長身で見るだけで暑苦しくなる程、全身黒に身を包んだ男が立っていた。
その横にはアメリカンなバイクが並んでいる。
一目でその人物が自分の帰りを待っているんだということが分かった。