天使の涙(仮)
飽きたなんていうのは嘘。
実際、貴弘とは相性がいい。
じゃないと1年も身体だけで繋がっていられるわけがない。
「私に対する態度が変わったこと。アンタはルール違反したから。」
「ルール違反て何のことだよ?」
「会う回数が増えたとこまでは良かった。でも、最中にああいうの言って欲しくないし、っていうかキモいから。あと、一番の理由は私のこと詮索するようになったこと。ウザイ意外の何ものでもない。だからいらない。」
見下すように貴弘を見る。
サラッと言ったけど、ヒドいことを言ってるって分かってる。
気持ちはなくても、1年程身体を重ねた相手だ。
言われた方は少なからず、胸にズシッとするものはあるだろう。
そんな私を悲しげな目で見ている。
何を言ったらいいのか悩んでいるようだ。
彼からの言葉を待とうと思う。
“ウザイ”“いらない”という言葉はどれ程の効力があるか私は知っている。
悲しいとか辛いとかそんな言葉では表せないくらいに。
幸いなことに恋人ではなくただの遊び相手。
キレることはあっても、落ち込むようなことはないだろう。
思い切り嫌いになって、私の元から去って欲しい。
そんなことを思う私は悪魔なのだろうか?