天使の涙(仮)

“愛されたい”その言葉に胸が痛くなった。
いつだったか私が切に願ったこと。
こんな形で思い出したくなかった。

こんなことを言われて、何も感じないわけではない。
でも、現実は貴弘には彼女がいて他にも女がいる。
そして、そんな状況下で私にそんなことを言う貴弘に怒りさえ感じる。
信じられるわけがない。
何より、貴弘がどうとかじゃなく、愛とか恋とかっていうモノが信じられない。
これ程に不確かなモノなんてないと思う。

壊れやすくて、少しでも衝撃が加えられたものなら、一瞬にして跡形もなくなる。
ガラス細工と同じ。

それなら最初からそんなもの無いのが一番なんだ。