天使の涙(仮)


会社に行くと、いつにも増してしかめっ面の実々がいた。

“おはよう”なんて言ってるけど、清々しい朝には似つかない表情。

何かあったのだろけど、聞いたところで俺の期待する返事が返ってこないことくらいわかる。
ましてや、俺以外の人がうろついてるこの場所で、自分のことを話すわけがない。


昨日の報告も兼ねて、食事にでも誘おうと話しかけた。

「実々、今日仕事終わったらなんか予定ある?ご飯でも食べに行かない?」


「…………アンタが残業押しつけられなかったらね。」

少し考えた様子でそう言って、自分の持ち場に行ってしまった。


実々らしいな、なんて思って俺も自分の持ち場についた。

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