天使の涙(仮)
いつもの店に着いて、いつものものを注文する。
普段となんら変わりない風景。
「何かあった?」
そんな気の利いた言葉を言ったのは実々だった。
まるで彼女が気が利かないみたいに言ったけど、少なくとも俺に対してはそうだ。
だからとても驚いてしまった。
「えっ?珍しいね、実々が他人を気にかけるなんて。」
つい本音が出た。
「………失礼な奴。これでも友達のことくらい気にするから。」
納得いかないと言った表情で、ビールをグビっと飲み干した。
実々の口からこんな普通っぽい言葉が出るなんてビックリで、そしてとても嬉しいと思った。