天使の涙(仮)


“別に”とか“あるわけない”とか言うんだろうなと思ってた。
でも、返ってきた言葉は意外だった。

「………私はアンタの反対。」

一瞬わからなくて、しばらく考えた。

「えぇ~!?実々、彼氏できたの?」

それは困ると正直思った。

「違う。告白されたの。丁寧にお断りしたけど。」

「あっ、そうなんだ。」

ホッとした。
今、彼氏ができてしまっては困る。
それこそ俺の存在価値がなくなってしまう気がする。

「丁寧になんて言って、実々のことだからヒドいこと言ったんでしょ?」

「ただ素直な気持ちを言っただけだよ。それに、彼女いたし。アホくさいでしょ?せめて女と別れてから来いっつーの。」

更に眉間に皺を寄せて、居酒屋のマスターに“冷酒”と一言で注文した。

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