天使の涙(仮)
もうかれこれこの店に来てから4時間は経とうとしている。
案の定、実々は冷酒を飲み続け、ひどい状態だ。
俺も無理矢理に冷酒を飲まされ、酔って心地いいというよりは、吐きそうで気持ち悪かった。
「もう帰ろうか。もう11時になるし。」
「じゃあさ、家行って飲もう!」
まだ飲む気かよ…。
失敗した。やっぱ無理にでも冷酒は止めておけば良かったと後悔した。
「でも、終電なくなるし。今度にしよう。家まではちゃんと送ってあげるからさ。」
「付き合い悪い奴だな。もういい、一人で帰る!マスター、精算して。」
全額払おうとしてる実々より先に、何枚かのお札をマスターに差し出した。
「誘ったの俺だから奢りだよ。」
リバースしそうなのを必死に笑顔で言った。
「あっそ。ごちそうさま。お客様、トイレはあちらになりますよ。」
実々も笑顔で言った。