天使の涙(仮)
実々の家の前に来たときには、すでに俺の乗りたかった終電は駅のホームをとっくに出ていた。
「終電行っちゃったよね。ごめん。」
そんないかにも女の子らしいこと言ってるけど、何故か顔がニヤついてるよ、実々。
「何たくらんでるの?」
「えっ?何のこと?」
「ニヤついてる。」
「泊まってってもいいよ?あっ、もちろん友情割り引きで。」
すごく楽しそうにしてる。
もともとこれが実々の目的だったんだ。
でも、今日は帰るよ。
彼女と別れた次の日に、例え友達でも女の家に泊まるなんてさ。
「いや、適当にタクシー拾って帰るよ。じゃ、おやすみ。」
不服そうな表情してる実々に手を降って歩き出した。