天使の涙(仮)
沙也加以外の女の家に一人でいるなんて初めての経験だった。
静寂の中で思った。
この部屋の中でどれだけの思いが詰まっているんだろう。
実々が男と寝る理由。
あの悲しげな表情。
冷めた性格。
昨日の涙の真の理由。
全てが謎だった。
結局俺は4年も友達やってて実々のことを何も知らなかった。
それで実々の味方だなんて、よく言えたもんだ。
無力だなんだなんて言っておきながら、心のどこかで俺によって実々が変われると思ってたんだ。
ヒーロー気取りもいいとこだ。