天使の涙(仮)

「実は、今日実々の家を出るときに怪しい男が家の前に居たんだよ。実々の知り合いらしいよ。今は仕事でいないから７時くらいには帰ってるって言ったけどまずかった？」

一気に眉間に皺が寄る。

「どんな奴？」

「背が高くて、ロン毛で、偉そうに喋ってた。実々の知ってる人？」

すぐに誰だか分かった。
貴弘だ。
何しに来たって言うんだ。

「なんだって？」

「お前はアイツの男か？とか、もうここに来るなとか言われた。なんかムカつく奴だった。」

「そう…。わかった。」

貴弘の勝手な行動、言動が腹立たしかった。
何をしようとしているのか、どうしたいのかがいまいちわからない。

良く考えてみたら、あっさりと納得したのがおかしかったんだ。
プライドが高くて、強引で、欲しいと思ったモノは手に入れないと気が済まない。
“それが俺の売りだ”といつだったかバカみたいに自慢気に話してたことがあった。