流星☆BOY【移行更新中】
 転校生っていうのは、いつの時代でも大変そうだ。

 こういうとき、転校生をめぐって恋のバトルとかあるもんなのよね。


 ……って、あたしのことか!?


 人が群れを成す隣の席を横目に、自分の立場を思い出す。

 親戚、という設定であるリュウセイについて、我先に聞き出そうと、何回かオンナノコに話しかけられるものの、あたしだって知らない。

「自分で聞いてくれる?」

 笑顔を作ったつもりだけど、相当冷たい言葉だったと思う。


 そういってあたしは、逃げるように席を立った。

「ヒメリ……?」

 小さな困ったリュウセイの声が聞こえたけど、あたしは聞こえないフリをした。

 憂鬱な気分を晴らすためにも、鞄から分厚い本を取り出して、いつものようににぎやかな昼休みに図書室に向かう。

おそらく半分以上本の中身は頭に入ってないけれど、それでもどこか胸の奥が熱かった。


 あたしの……大切な、場所。

 一歩ずつ近づくたびに、胸が苦しくなる。

会いたくて、少しでも声が聞けるだけでうれしい。

でも、その距離はいつまでたっても縮められない。


 あたしは、みんなが思ってるほど冷静でもないし、強いわけじゃない。

 ただの、臆病者なの。


 扉を開けるのだって、小さな勇気を振り絞るのだから。

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