流星☆BOY【移行更新中】
 階段を駆け下りていると、上のほうから声が響いてくる。

「ヒメリ!待って、ヒメリ!」

 逃げるように更に駆け下りて、あたしは昇降口を飛び出していた。

 目前には日差しが強い中、サッカーやバスケを楽しむ生徒の声が響く校庭。

その片隅にたたずむ体育館の裏に走りこむ。


 きっとあそこならリュウセイには分からないはずだ。


「はぁ、はぁ、…ヒメリ……ッ」


 リュウセイの戸惑う声が微かに聞こえ、じっと息を潜める。
そして足音が遠ざかるのを確認して、ほうっと一気に息を吐き出した。


 リュウセイが、いけないんだ。

あたしの勇気を踏みにじったんだもの。


 ふと視線をずらすと、フェンスの向こうに流れる小川。


 体育の時間に水の音はするな、とは思っていたけれど、こんなところにあるとは気づかなかった。

そしてその小川に1本の笹がしなる。


 水のせせらぎに誘われるように、なんとかフェンスをよじ登り、肩幅くらいの川の向こうへ着地した。

湿った風が笹の葉を揺らして、あたしはしゃがみこんで笹に呟いていた。


「昨日は、織姫と彦星が会える日だったのにね…」


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