流星☆BOY【移行更新中】
「じゃあ、橘さんも風邪ひかないように」

「先輩もお体には気をつけて」

 どうしてだろう。

本当はつらいはずなのに、こんなに笑っていられるのは。


 溶ける闇に小さく聞こえた言葉。


「……ごめんね」

 それは確かに先輩のもので、少しずつ小さくなる背中を見ていた。


「先輩!!」

 気がついたら、珍しく大きな声で呼び止める。

さっきの先輩の言葉は、敢えて聞こえてないフリをして手を振った。

振り向いたであろう影に、こみ上げた涙がばれないように。


「大好きでしたっ!」


 声が届いたのか、そのシルエットから伸びた腕がぶんぶんと横に数回振られて、そのまま小さく…消えていった。


 あたしもそれ以上惜しまないように背を向け、守衛室に顔を出す。 

いつもより声のトーンをあげるように心がけると、


「すみません、電話をお借りしたいんですが……」

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