流星☆BOY【移行更新中】
 約束の時間に母と父と3人で先ほどの診察室へ戻ると、毛布をかぶったすこし顔の赤いリュウセイが座っていた。

 先輩を送ったあと、守衛室から家に電話をかけて状況を報告したのだ。


 リュウセイの視線はうつろだったけど、微かに聞こえるあたしを呼ぶ声でようやく胸をなでおろした。


「ありがとうございました」

 病院のロータリーで父が運転するワンボックスの車に乗り込む。


 後部座席で、あたしの膝に頭を乗っけて眠るリュウセイの前髪を梳く。

まだ少し湿っていて、さっきのことは夢じゃなかったんだと実感させられる。


「リュウセイくんってば、姫織から借りた携帯電話のために川に飛び込むなんて……」

 呆れたように母は助手席で苦笑いをこぼす。

それは父も同じようだった。

 あたしはそれ以上に、腹が立つし、心配したし。

……それに嬉しかった。


 深く眠るリュウセイの火照る頬を、できるだけ優しく触れてみる。


「『ヒメリが笑ってくれるのは、アナタだけなんです。
ヒメリが幸せでいてほしいから、僕じゃだめなんです』

……だって…」



 教えてもらった、リュウセイが先輩に頭を下げていった言葉。


「本当に、リュウセイってば……」

 車の震動が心地好くて、見ていたリュウセイの寝顔が次第にかすんでいく。


 そういえばあたしも走り回って疲れたなぁ、なんて記憶の彼方で考えていた。

もうそのときには、あたしも眠りに落ちかけてしまっていたんだ。

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