初恋 ~キミが僕に残したもの~
それを見て、僕の心が大きく、そして激しく揺れる。


彼女の笑顔に心の奥底に沈めた暗く汚い嫉妬心と、焦げ付けるような熱い想いが外へと飛び出したがっていた。


僕は彼女に背を向けるように窓際に立った。


遠く眼前にそびえる大聖堂。
白い壁に緑の三角屋根の中世ゴシック様式のそれが彼女の晴れ舞台だ。
彼女が昔、結婚するならあそこがいいと話したその場所を今、目の前にして、僕は妙に惨めな気持ちになっていた。


こんなはずはないと心の中で叫び声をあげる。
もし、心の声が音として外に出ることができたなら、その声はきっとかすれてガラガラに枯れてしまっているに違いない。
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