初恋 ~キミが僕に残したもの~
ぽたり……何かが目元から落ちた。

咄嗟に目頭を押さえる。
目元が濡れていた。


涙だった。


――なんで落ちるんだ、涙なんて。


予想もしていなかった体の反応に、頭がついていくことが出来なかった。

理性で押さえつけていた想いの紐が、今、ほどけてしまった。


――泣くほど後悔しているって言うのか?


言ったところで叶わない。
そんなこと、分かりすぎるくらい分っていながら、それでも言った方がよかったと思っているのかと、何度も何度も自問する。



答えはただ一つ。



後悔はしている。

でもそれは胸の内を明かさなかったことではない。
留学した三年間、忘れることも出来ず、逆に愛を告げることもせず、中途半端なまま煮え切らなかった。


その態度こそを後悔していた。
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