初恋 ~キミが僕に残したもの~
結婚式
吸い込まれそうなほどに高い天井。

長い大理石のヴァージンロード。

ベンチに飾り付けられた生花の香りに導かれるように、パイプオルガンの響く厳粛な雰囲気の中を一歩、一歩、幸せを噛み締めるかのようにゆっくりと彼女は歩いていた。


オフショルダーのAラインドレスに長く豪華なトレーン。

大輪のカサブランカよりもまわりの柔らかなスイートピーやスズランを強調したキャスケードのブーケ。
それは薄いパープルの色を忍ばせ大人っぽく、また清純な印象を与えていた。

トレーンと同様に長く細やかな刺繍を施されたマリアベールの優雅なスタイルは、彼女をより美しく見せていた。
その横顔は少し緊張しているのか固くなっているとはいえ、今までに見たこともないくらい綺麗だった。



ぼくの知らない彼女が目の前をゆっくりと通り過ぎていく。

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