初恋 ~キミが僕に残したもの~
エピローグ キミが僕に残したもの
どうしたらよいのか分からなかった。


何とも言えない、苦く重たい気持ちを胸に抱いて教会の外へ出た。彼女たちを祝福する声が溢れかえる中、一人ぼんやりと立ちすくむ。


後ろから「今からブーケトスをしますので……」と独身者を案内する声がなんとなく聞こえたが、振り向きもせず、初夏の青空を見上げた。



すっきりと晴れあがった空には雲一つない。
僕の心とはまるで違う青空が少し憎らしく感じた。


わぁ……そんな歓声が上がった。


そして、見上げた空にくるくると弧を描いて舞う何かを、僕の瞳は何となく捉えていた。

僕の手は自然にそれに向って伸びていた。


それは小さなブーケだった。
彼女の持っていたブーケと同じ花で作られた、ブーケトス用の小さな花束だった。

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