初恋　～キミが僕に残したもの～
結婚式の朝
不快な高音が耳元で鳴り続けていた。
聞き覚えのない音に嫌々ながらゆっくりと目を開けた。


――明るい。


飛び込んでくるまばゆい光に目が痛かった。
そしてゆっくりと音のする方に視線を向けた。


――もう、こんな時間か。


ぼやけた視界でも、はっきりとデジタル表示は読むことが出来る。
それから布団の中から右手を出して、目覚ましのスイッチを強く押して音を消し、頭をすっぽりと布団で再び覆った。

午前八時――いつもに比べれば、ずいぶんゆっくりとした朝だが、出来ることなら今日は寝過ごしてしまいたかった。


――朝なんか来なければよかったのに。


今日という日など望んでいなかったのに、それでも容赦なく朝はやってきた。

もう一度眠ってしまおうと思った。
そうすれば今日おきる出来事に目を閉ざしていられる。

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