初恋 ~キミが僕に残したもの~
キミとの時間
「突然なんだね」


彼女が言った。


旅立つ一週間前に留学することを彼女に告げた。
見たこともない悲しげな眼差しを向けられて、心はその場に置き去りになった。


あれから三年。
短いようで長かった異国での生活は、今もまだ続いている。


年をとるごとに増す彼女への募る想いに耐え切れず、ぼくはイギリスへの留学を決めた。
彼女の傍から遠のけば、彼女に対するこの想いも掻き消えるだろうと思ってのことだった。が、その考えは実に甘かった。


無駄に三年を過ごし、消えるどころか、想いは鉄の重りのようにずっしりと心にのしかかっている。

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