恋するバニラ

「ねえ。サエコまた今日も休み?」


いつもは、サボリ?なんて失礼なことを

言ってくるマホですら

今日は心配そうに話しかけてきた


「・・・あのね。わたしが言っていいのか

 分からないんだけど・・・サエちゃんあの

 カフェの先輩に振られたみたいで

 それで・・・引きこもっているらしいの」


「なに?そんな話知らないよ。

 なんでもっと早く言わないんだよ」


「だって。わたしもお母さんに聞いただけで

 本人とは話していないんだもん!!

 電話もメールも・・・それに、

 会いに行ってもあってくれないの」


あまりのマホの勢いについ、

わたしも感情的になって

マホの手を振り払って言い返した


「あんたには、フラレたやつの気持ちが

 わかんないよね」


マホは急にそう、わたしに言う

その言葉にカチンときたわたしは

マホを睨むようにみて


「笹本さんこそ、八つ当たりされる

 人間の気持ちもわかんないでしょう?

 フラれた人間が不幸だからなに?

 同情してほしいってこと?」


「織田 あんたねえ!」


「わたしは恋したこともないから
 
 失恋の経験もないよ

 だから、どんなに辛いかわかんない

 どうサエちゃんを励ましていいか

 なんて知らないよ!」


「・・・」


「それにサエちゃんがフラれたこと、自分から

 言わないのに、勝手に笹本さんたちに

 話しちゃダメだと思って・・・

 でも笹本さん毎日心配そうにしているの

 知っているから・・・・」


マホに言わなきゃよかったと

わたしは後悔していた


「織田。ゴメン

 またあんたを傷つけちゃったね

 でも、こういうとき、親友の支えって

 大事なんだよ。

 誰かに話を聞いてもらえばスッキリ

 することもある。

 一人でくよくよしていると

 わたしみたいに、関係ない人間に

 八つ当たりしちゃうからね」


そう、マホは寂しそうに言った。


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