恋するバニラ

カフェを追い出されたわたしたちは

それぞれバイバイ~~って別れ

そのまま帰る

わたしとサエコは同じ方向に

歩いていた


「笹本さんったら。あんなこと

 聞いたら追い出されちゃうの

 知っていていつも聞くんだもん

 あの会話が出たら、ああ~もう

 帰る時間か~~って

 ついつい時計みちゃうよ」


「ホント、ホント

 わたしも同じだよ」


「ねえ。サエちゃん

 ケイゴさんって本当に

 わたしたちのこと

 子ども扱いだね

 最近ちょっと自信が

 なくなってきたよ~~」


「え。やっぱり?

 わたしもだよ。

 告白したのにさあ

 今までと同じ態度だもん

 寝込んでいた、わたしって

 なんだろうね~~」


2人で大きなため息をつく

あんなに猛アピールをしても

全く動じないケイゴ

サエコが告白する前と

かわらない接し方で

自分達が恋愛対象として

これっぽっちも思われて

いないのを実感してしまう


「で、サエちゃんは

 あきらめるの?」


とわたしは意地悪な質問をした

サエコは、ニコリと笑って


「そういう、シロこそ

 どうなのよ~~」


そう、聞き返してきた

お互いまだあきらめないのを

知っていて意地悪を言う

でも、内心

その言葉で、まだ相手も

思い続けているのだと

確信しあってもいる

全く相手にされていなくて

つらいが、お互いライバルって

建前を作って

差さえあっているのだ
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