空の神衣
「うおおっ」

 思いもよらない重圧を受けきれず、ミシェルは後退する。

「何が通じへんてえ?」

 頭上からの声に見上げると、晶が独楽の上にいた。

 回転する軸の上で、晶は器用に爪先でバランスを取っている。

「てえいっ」

晶は独楽を蹴って飛び出すと、ミシェルに回し蹴りを放つ。

「くうっ!」

 独楽をさばきながらの無理な体勢ながら、辛うじてミシェルは晶の蹴りをかわす。

「どないやっ」

 晶はそのままもう一つの独楽に着地する。

 蹴りで倒すつもりなどない。

 晶はミシェルの反応速度と安全圏を掌握するために一手仕掛けたのだ。

(く~、やっぱキビシイなあ)

 晶は脇腹をさする。

 ミシェルの剣技は、やはり尋常ではなかった。

 猛攻にさらされている中から、ミシェルは晶に斬撃を放っていたのだ。

『反撃されたことが、すでに驚異だね』

 アルゴスの声にも、焦りがうかがえる。
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