空の神衣
『どないする?上からの攻撃は確実に返されるやろな』

 長剣は間合いが広く射程距離が長い反面攻撃時の負荷が大きいため、使い手には機敏さより重心安定の高さが必要だ。

 ましてや、ミシェルは身長ほどもある長さのエトワールを振るっているのだ。

 素早い動きはできないだろう、と晶は踏んでいた。

『体ごと動くことはできなくても、一瞬の踏み込みと腕の動きは晶より速いかも知れないよ』

「さらっとイヤなこと言うてくれるなあ…」

 アルゴスの分析は的確なだけに、晶に二の足を踏ませる。

 晶には勿論実戦の経験などないが、危険を察知する能力は長けている。

 晶の本能は、ミシェルの動きに完全な死角などないことを認めていた。

(どこから仕掛けてもクリーンヒットは取れんとなると、尚更自由のきかん上は捨て、やな)

 空中技は外した時の隙が大きい。

 ミシェルがその隙を見逃してくれるはずは、ない。
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