空の神衣
(あかん、頭クラクラして力入らへん。はよ決めんとヤバイ)

 意識が薄れそうになるのを何とか繋ぎ止め、晶はミシェルの腕を絞めにかかる。

 ジイイィィィ…

 エトワールの振動音が一層高まる。

『晶、離れたほうがいいよ。あの音は危険な気がする』

 アルゴスに言われるまでもなく、晶も身に迫る危険は感じていた。

 だが、ここで退いたら勝期はまず来そうにはない。

『離してしもたら、勝ち目のうなる。このまま絞り切る!』

 晶が更に力を込めて絞めあげると、ミシェルの腕は遂に限界を超えた。

 ゴグイィィィッ!

 肘が砕け、筋肉が張り裂ける。

「ぐあううぅぅっ!」

 ミシェルの顔が苦痛に歪む。

 手応えを感じた晶は、大きく飛び退く。

 ザヒュウウゥゥゥ…

(な…なんや…)

 低い唸りが聞こえたかと思うと、晶の視界が激しく歪む。

 全身を襲う重圧。

「あぐうああぁぁっ!」

 バランスを失い、晶はふらつきながら辛うじて着地する。

「エトワール…の、奥の手…ラファル…」

「ラファル…旋風?」

 膝をつく晶の目に、電光を放つエトワールの刀身が映る。

『分かった。エトワールの刀身が振動して静電気と気流を発生するんだ。さっきの攻撃は、それを蓄積して打ち出したんだろう』

 アルゴスもかなりのダメージを受けたようだ。

 ただでさえ平行感覚が戻っていないところへ、強打をまともに食らったのだ。

「やっぱりなあ、なんか隠してる思たんや」

 晶は構えを取ろうとするが、腰が砕けて足元が定まらない。

 一方、右腕を折られたミシェルも追撃にをかける余力はない。
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