空の神衣
 晶も、ミシェルのある癖に気付いていた。

 大技を繰り出す時、必ず左目を閉じるのだ。

 その瞬間を狙う。

 晶はミラクル・シーツを畳み、飛行機の形に折りあげる。

「っ!」

 床を蹴って飛行機に飛び乗り、滑空する。

 その後方で、二つの独楽が合体して巨大な風車になる。

 ヴウウゥゥゥン…

 風車が突風を起こし、晶が乗る飛行機を加速する。

「飛び込む気か。だがさせんっ!」

 ミシェルはエトワールを一閃、渾身のラファルが飛行機を粉砕する。

 しかし、そこに晶の姿はない。

「もろたあぁぁっ!」

 視線の下から、晶の声がする。

 ミシェルの両足の間に頭を差し入れ、太股を担いで倒立させる。

「これで、終いや!」

 晶がミシェルを捕えたまま飛び上がると、風車が今度は下から突風を起こして押し上げる。

「人間の筋力で翔べる高さはせいぜい2メートルがええとこやが、それでは威力が出えへん」

 上昇しながら、晶は誰に言うともなく語っていた。

「フィンスピナーを使えば、10メートル以上はいける。この高さなら…」
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